『俺の空〜アメリカ編〜』p.4

「金谷、お前どこ行くんだよ?」
「ちょっと海外でライブやる事になってさあ」
「ふーん…」

河田あいかわらず新聞読んだまま。
リアクション薄っ!ノードッキリ。興味なしかよ。

「海外ってドコだよ」
新聞から一瞬も目を離さないまま俺に聞く。
何だコイツ、本当は知ってんじゃねーの、と思いながらも
「さあ、どこでしょう?」と俺。

「うーん…」
あれ?意外に考え込んでるぞ。
「中国だろ?いや、台湾とかそっちの方か?」
「ふーむ。そう来ましたか…」
「教えろよ」
おっ、だんだん食い付いて来た。

ヤツの食い付きをスカすように、
「ま、日本に戻って来たらみやげ話でもしてやるよ。じゃーな」
ギター抱えて別の車両へ。スタスタスタ。

駅に到着。
わざとゆっくりホームに降り、こっそり後を付ける。
空港でチェックを済ませ、BOOMER御一行様が
喫茶店に入って行くのを確認した後、同じ店へ。

「えーっと、出発まで時間あるからコーヒーでも飲んでいくかな…、
どっか空いてる席は…あっ、元AKIKOというブレイク寸前で解散しちゃった伝説のトリオ
のうちの二人が組んでコンビとして復活したBOOMERがこんなトコにいる!」
「長ぇーよ」
「ぐーぜん同じ店入っちゃったよ。奇遇だなあ」
「……」
愚にもつかない話をした後、「じゃ」。
またまたゆっくりと成田発ロサンゼルス行きユナイテッド航空890便へ。
再び機内でBOOMERと御対面。
「おっ、ぐーぜん同じ飛行機じゃん、奇遇奇遇」
「……」

彼らとは少し離れた自分の席、見知らぬ黒人男性の隣に座る。

ロサンゼルス空港着。
ホテルに向かうためタクシーを探す。

「さてと、ホリデーインホテルにでも行くか…あっ、こんな所に
BOOMERがいる。すげー偶然だ」
「……楽しいか?」

ロスの空気のような乾いたツッコミ。
ああ、ホントにロスまで来ちゃったんだなあ…。

「俺をダマすためにわざわざギターまで持って来たのかよ」
「いやいやライブはホントにやるよ。
毎週やってるサンデーサンロードの出張編ロサンゼルスの巻だ!」

河田にというよりも、自分自身に言い聞かせるように俺はつぶやいた。

「待ってろアメリカ!アイキャンノットスピークイングリッシュぜよ!」

…つづく